磁器と陶器の違いとは?|美濃焼で知る器の特徴
美濃焼の器を、素材から知る
同じ「やきもの」でも、器を手に取ったときの質感や重さ、色、光の透け方などには違いがあります。
その大きな違いの一つが、磁器と陶器です。
美濃焼では、さまざまな原料や技法、釉薬が使われ、多彩な器が生み出されてきました。
磁器と陶器、それぞれの特徴を知ることは、美濃焼の奥深さを知ることにもつながります。
磁器と陶器、何が違う?
磁器と陶器の大きな違いの一つは、焼き上がった素地の状態にあります。
磁器は、陶器に比べてガラス質を多く含みます。焼成によって素地がよく焼き締まり、内部の細かな空隙が少なくなるため、水を吸いにくいのが特徴です。
一方、陶器は磁器に比べて素地に空隙が多く、吸水性があります。
土岐市の陶磁器試験場では、一般的な特徴として、磁器は吸水率がほぼ0%、陶器は10%近くになる場合があると説明しています。
つまり、
磁器=水を吸いにくい
陶器=水を吸いやすい
という違いが、器の性質を知る一つのポイントになります。
「長石・珪石・粘土」が器をつくる
焼き物の原料は、一般に長石・珪石・粘土の3つの成分を基本として考えることができます。
それぞれに役割があります。
長石
焼成時に溶けてガラス質をつくり、素地を焼き締める働きをします。
珪石
ガラス質をつくる成分の一つです。
粘土
器の形をつくるために欠かせない原料で、成形性と耐火性を持っています。
これらの原料の種類や配合、焼成条件などによって、焼き上がった器の性質は変わります。土岐市の資料でも、美濃焼の原料として粘土・長石・珪石が紹介され、それぞれの役割が解説されています。
磁器の特徴
白く、硬く、すっきりとした器
磁器は、鉄分の少ない原料を用いることで、白く美しい素地に仕上げられることが多いのが特徴です。
また、よく焼き締まっているため吸水性が低く、表面を清潔に保ちやすいという扱いやすさがあります。
磁器の素地は光を通すことがあり、指ではじいたときには、陶器よりも澄んだ音がすることも特徴の一つです。
白い素地は、絵付けや釉薬の色を美しく見せる役割もあります。
そのため、磁器は、
・白くすっきりした表情
・なめらかな質感
・吸水しにくい
・薄く仕上げられるものがある
・絵付けや色彩を美しく見せやすい
といった魅力を持っています。
陶器の特徴
土の風合いと、温かみのある表情
陶器は、自然原料である陶器用粘土を主体とするため、磁器に比べて鉄分を含むことが多く、素地に褐色や黄土色などの色が現れることがあります。
また、素地に空隙が多いため、磁器とは異なる手触りや表情が生まれます。
陶器では、素地そのものだけでなく、釉薬によって生まれる色や景色も大きな魅力です。
美濃焼を代表する織部、黄瀬戸、志野などにも、それぞれ特徴的な釉薬や技法が用いられています。
陶器には、
・土の風合い
・素朴で温かみのある質感
・釉薬による豊かな表情
・一つひとつ異なる景色
など、磁器とは異なる魅力があります。
見た目や音にも違いがあります
磁器と陶器は、実際に器を手に取ることで違いを感じられる場合があります。
| 磁器 | 陶器 | |
|---|---|---|
| 素地 | 白く硬く焼き締まる | 土の風合いが感じられる |
| 吸水性 | 低い | ある |
| 透光性 | 光を通すものがある | 基本的に光を通しにくい |
| 厚み | 薄く仕上げられるものがある | 比較的厚手 |
| 音 | 澄んだ音 | 鈍い音 |
| 表情 | 白さや絵付けを生かす | 土や釉薬の風合いを生かす |
これらはあくまで一般的な特徴で、実際の器は原料や製法、焼成条件などによって異なります。
美濃焼は「陶器」だけではありません
「美濃焼」と聞くと、織部や黄瀬戸、志野などの伝統的な陶器を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、美濃焼は一つの決まった様式だけを指すものではありません。
現在、伝統的工芸品として指定されている美濃焼には、志野・織部・黄瀬戸・瀬戸黒・灰釉・染付・天目・赤絵・青磁・鉄釉・粉引・飴釉・御深井・美濃伊賀・美濃唐津の15品目があります。
それぞれに原料、釉薬、技法、焼成などの違いがあり、さまざまな表情の器が生まれています。
さらに、土岐市の資料では、磁器の素地に織部・黄瀬戸・天目などの伝統的な陶器釉を施し、陶器風の表情を持たせた製品も美濃焼にはあると紹介されています。
ここにも、美濃焼の大きな特徴である「多様性」が表れています。
器の違いを知ると、美濃焼がもっと面白くなる
白くなめらかな磁器。
土の風合いを感じる陶器。
どちらが優れているということではありません。
吸水性、硬さ、手触り、色、釉薬、厚み、そして料理を盛り付けたときの見え方。
それぞれの特徴を知ることで、器を選ぶ楽しみも広がります。
そして、その一つひとつの違いの背景には、産地で受け継がれてきた原料の知識、技術、釉薬、焼成の工夫があります。
美濃焼の魅力は、決まった一つの形ではなく、長い歴史の中で培われた技術をもとに、さまざまな器を生み出してきたその多彩さにあります。
「この器は、どんな土からできているのだろう?」
そんなところから器を見てみると、いつもの食卓にある美濃焼が、少し違って見えてくるかもしれません。
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美濃焼の原料や釉薬、陶器と磁器それぞれの特徴と魅力も紹介します。
参考・出典
土岐市公式ウェブサイト「磁器と陶器の違いは」
土岐市陶磁器試験場・セラテクノ土岐による、磁器・陶器の性質、吸水性、原料、釉薬などについての解説。(土岐市公式サイト)
土岐市公式ウェブサイト「陶磁器の知識」
美濃焼の原料や製造、陶磁器に関する基礎知識を紹介。(土岐市公式サイト)
土岐市「美濃焼の原料と役割について」
粘土・長石・珪石の役割や、美濃焼に使用される代表的な原料について解説。(土岐市公式サイト)
美濃焼伝統工芸品協同組合「伝統工芸品『美濃焼』」
美濃焼の歴史と、伝統的工芸品に指定されている15品目について解説。(土岐市美濃焼伝統産業会館)
岐阜県公式ウェブサイト「志野」
志野をはじめとする美濃桃山陶の歴史について解説。(岐阜県公式サイト)
経済産業省「伝統的工芸品」
伝統的工芸品の指定制度について。(経済産業省)